journal // 001

10代の時に出会い、以来長年ずっと尊敬し、憧れている自分にとって”道導”の様な存在のカナさん。既にご存知の方も多いかと思いますが、彼女の世界観が詰まっている “STARDUST” はギャラリー兼カフェで京都の閑静な住宅地に9年前に誕生しました。古の時代に想いを馳せる事が出来る築90年の町家と対話しながらゆっくりと彼女が作り上げたこの場所は、彼女の人間性が垣間見れる自然の経年に敬意を示した美しい集いの場。時空を超えておとぎ話の中に迷い込んだ様な、同時に日本文化の美しさと見えない何かに見守られている様な不思議な感覚を肌身で感じます。国内外から様々な人々がこの場所に魅了される“STARDUST” の母、カナさんのインタビューをどうぞご覧ください。きっと、読み終えた時にご自分の中に何か煌めくものを感じると思います。

"宇宙の星がその命を終えた時、うまれたその星屑はあなたになった。あなたは美しい宇宙のひとかけら。"

kana shimizu // the owner of stardust and elberth

年に一度、毎春にBLACK CRANEのトランクショーを催して頂いている姉妹ギャラリー, ELBERETH。

MOMO: どの様にして”STARDUST”が誕生したのか教えて下さい。

KANA: お店をするのなら、屋号は”STARDUST”にしようと閃いたのは、2014年の夏デンマークを旅していた時です。

まるで、進化を遂げた別の星にいるかのような、それはそれは美しいエコヴィレッジに滞在していた時のことでした。

そこには、ある女性が作ったコミュ二ティーのシンボルのような庭がありました。STARDUSTガーデンと呼ばれるその庭は、花を地上の星に例えた輝くような美しい庭でした。

甘く優しい風が吹きぬけるなか、その真ん中に立つ優しい樫の木を眺めていると、なんともいえない幸福感に包まれました。

その時です、ある宇宙物理学者が話してくれたお話しを、ふと思い出したのです。「私たち人間の身体を形成する細胞を素粒子レベルまで辿っていくと、 星を形成する成分とまったく同じ成分なんです。だから人間も星屑なんですよ」

ちょうどデンマークを訪れる前に、仕事で「人間と花」のキーワードを探してロシアを旅した私は、このSTARDUSTガーデンに出会ったとき、バラバラだったパズルがカチッとはまったような、そんな不思議な感覚を味わいました。

私たちは地上の星屑なんだ。私の内側に、「星の煌めきが宿っている」そう感じたら、目の前の景色が静かに輝きだすような、そんな嬉しい気持ちになったのです。訪れてくれた人も、そこで働く私たちも、その場所にいるだけで、なぜか嬉しくなって内側の星のかけらが輝きだしてしまうような、そんな場所を作れたら、、、。

そして私たち人間だけではなく、この星に命を宿した全ての生命が等しく同じ成分で出来ているということこの感覚を共有できるような場所をつくれたら、、、。

そんなことを考えていた、夕暮れ時のSTARDUSTガーデンでの、あの胸が踊るひと時を今も忘れることができません。

そして数ヶ月が過ぎたある日、まるで奇跡のような計らいで、現在この約90歳を迎える古い町家に出会ったのです。

ギャラリーの台所に美しく置かれているカラトリー
カナさんが毎朝点てるお茶に使用する美しい古い茶碗や、茶器類。(松本郁美さん 作)

MOMO: 日頃、心掛けている習慣などはありますか?
KANA: ユーモア  ・ 呼吸  ・ 愛を込める
朝、お茶を点てて飲むことは瞑想であり
日々一杯のお茶を飲む時間は自分に戻るひととき。

MOMO: ご自身らしいスタイルとは?
KANA: あらためてあまり考えいなかったことに気がつきましたが寛いでいること 、、かな。

MOMO: 簡単にカナさんのバックグラウンドを教えて下さい。
KANA: 子供の頃は、非常に空想的な子供でした。
思春期になると、生と死について、宗教とは、なぜ人は争うのだろうか?
そんなことばかり考えて、自分なりの答えを見つけるために沢山の本を読み漁っていた学生時代。
短大は芸術科を専攻し写真や色彩学を学びました。
二十代にオーストラリアで一年過ごした時に現在の夫に出会いアメリカのバークレーに約5年暮らし、自宅の水中出産で長女を出産。
日本に帰国後も自宅で水中出産で次女を出産しました。
2011年 東日本大震災を経験し後、京都へ移住。

2015年 ”STARDUST” をオープン。

2017年 著書 『 クリスチャニア 自由の国に生きる デンマークの奇跡 』写真家、稲岡亜理子と出版。クリスチャニアという住民が自らルールを定めて自らその地域を維持しているユニークなコミュニティーの存続問題やエコビレッジ、教育の現場ホルケホイスコーレなど、幸福度が高いデンマークの秘密にせまる。

2023年 姉妹店 ”ELBERETH” をオープン。

美しい石畳の玄関を打ち水で清め、お客様を迎えるカナさん。素足が可愛いらしい。

stardust

美しき時の経過を感じられる町家を活かしたギャラリー兼カフェの”STARDUST”

MOMO:お店のINSPIRATIONとAESTHETICについて教えてください。
KANA:今は、この店名に掲げてる”STARDUST”の意味を深く考える日々です。
それは私たち人間だけではなく、この星に命を宿した全ての生命が等しく同じ成分で出来ているという事が その『宇宙の真実』
はまさに私たちが地球の(この星の)一部であり、宇宙の一部であるということを物語っているということ。
店としての経済活動を行う反面、私の心はいつもその部分に深く共鳴しています。
私たち人類が、人種や宗教を超えた、もっと大いなる感覚の中で、私たち全ての生きとし生けるものが『この星のカケラなのだ』 
という感覚を分かち合い、互いに尊重しあえ、助け合える、平和な世界が訪れますようにと、そんなインスピレーションをシェアできる、お店だけど、お店じゃないような、、、。
”STARDUST”がそんな場所でありたいと願うことが、全ての原動力になっているように感じています。
そんな感覚が、空間に見えない何かで作用してくれていたら嬉しいです。

それが、私にとっての空間への美学です。

MOMO:人生において大切に優先的にしている事を教えて下さい
KANA:日々の中に、感謝を見つけること  ・ センスオブワンダーの感覚を持ち続けること。

総神社の鳥居の正面にELBERETHの入り口がある。爽やかな風がギャラリーと神社を吹き抜ける。この場所はかつて源義朝の別邸があった言われ、源義経(牛若丸)生誕の地。

MOMO: “LIFE /人生” と考えて、何を思いますか?
KANA: 冒険

MOMO: 今、何に一番興味、繋がりを感じますか?
KANA: 地球に暮らす人々の意識の成熟と愛の拡張がもたらす世界平和

MOMO: カナさんが深く共鳴する好きなフレーズもしくは引用があれば教えて下さい。

KANA: ”STARDUST”という店名にしようと決めて、空間を作り始めた頃この詩が生まれました。『 YOU ARE STARDUST ON THE EARTH – A BEAUTIFUL PIECE OF THE UNIVERSE. 』宇宙の星がその命を終えた時、うまれたその星屑はあなたになった。あなたは美しい宇宙のひとかけら。

フォトグラファー ・ 山中美有紀